実態調査から見えてきたロードバランサー選択の新基準

実態調査から見えてきたロードバランサー選択の新基準

実態調査から見えてきたロードバランサー選択の新基準
安価で使いやすい製品への更新も選択肢に


Webサーバーなどへのアクセスを分散させ、システム停止などの障害の発生を防止するロードバランサーは、ECサイトやオンラインゲームを展開する企業にとって不可欠のツールです。テレワークの普及や、高精細画像・映像の社内利用の広がりなどから、最近ではさまざまな業種・業態の企業や自治体などでもロードバランサーが使われるようになってきました。

こうした利用シーンの拡大に伴い、企業・団体のロードバランサーに対するニーズにも、変化の兆しが現れてきています。

ネットワーク管理ツールなどを手掛けるプログレス・ソフトウェア・ジャパンは、ロードバランサーに今、何が求められているかを探るために「サーバー運用者のロードバランサーに関する実態調査」を実施。その結果から新たな時代のロードバランサーの選択基準が見えてきました。

この調査は、ロードバランサーを導入している企業のサーバー運用担当者100名を対象に2023年4月28日~5月1日に実施したものです。(詳細は5月25日付の報道発表資料 https://www.ipswitch.com/jp/about/news-and-events/ipswitch-news/survey-on-load-balancer をご参照ください)

「実績」と「多機能性」が選択理由に

この調査では、最初の設問「Q1」で、企業がロードバランサーを導入する際に「どのような観点を重視したか」を尋ねています(複数回答)。その回答で最も多かったのが、「導入実績」で、全体の30.0%を占めました。

ロードバランサーでは、1990年代からこの製品を展開している老舗ベンダーや、大手ネットワークベンダーが高いシェアを占めてきました。こうした「実績」が製品選択の大きな要因となっていることが、この数字からも見て取れます。6.0%が「商品ブランド」を重視すると回答したこともからも、こうした傾向が裏付けられると考えられます。

この設問で注目されるのが、ロードバランサーを導入する際に重視する項目として2番目に多かったのが「多機能性」で17.0%を占めたことです。

ロードバランサーでは、基本機能となるL4、L7での負荷分散に加え、SSL暗号化、クラウドサービスを利用する際のアクセス制御、WAF(ウェブ・アプリケーション・ファイヤーウォール)などのセキュリティ機能などを標準搭載、あるいはオプションで実装できるようにした製品が多くなってきています。

ロードバランサーがこうした機能を併せ持つことでネットワークの構成をシンプルし、導入コストを抑えることができます。導入企業の裾野が広がったことで、ロードバランサーに、ネットワークの運用に必須となるこうした機能を求める傾向が強くなってきているといえるでしょう。

この調査で興味深いのが、自社で利用中のロードバランサーに搭載されている、こうした多様な機能を「活用しきれていないと感じることがあるか」という設問(Q3)で、回答者の8.0%が「かなりある」、49.0%が「ややある」と答えています。

6割近くの企業がロードバランサーに搭載されている機能を十分に活用しきれていないのです。

その理由を尋ねたQ4では「操作や運用が複雑で難しいから」(49.1%)、「搭載されているが、活用していない機能が多いから」(42.1%)、「仕様を柔軟に変えられないから」(42.1%)の3つの項目が上位を占めました(複数回答)

「操作が複雑で難しい」という回答からは、ロードバランサー製品に多様な機能を搭載しても、それを使いこなすためのスキルをユーザーが習得できるようにすることや 、専門知識がなくても利用できる直感的な操作性を実現しなければ、なかなか活用されないということが分かります。12.3%が十分に利用されていない理由として「サポート体制が充実していない」ことを挙げています。

「活用していない機能が多い」という回答は、搭載されている機能がその会社にとって不必要であったり、オーバースペックであることが多いことを意味していると考えられます。

「仕様が柔軟に変えられない」という回答からは、多くのベンダーの製品で企業のニーズに対応できる作り込みが行われていないことがうかがわれます。

この他にも「同時接続数が少ない」(29.8%)、「使用中の不具合が多い」(14.0%)、「他システムと連携が不便」(10.5%)などの声が寄せられています。

企業の幅広いニーズに対応できる新時代のロードバランサー

こうした声を踏まえて、調査ではQ6で「ロードバランサーとしての必要最低限の機能が揃った、費用の安い製品があればリプレイスを検討したいと思いますか」と尋ねています。

これに対して、13.0%が「非常にそう思う」、46.0%が「ややそう思う」と回答、約6割の企業でリプレイスが選択肢となっていることが分かりました。

リプレイスを検討したいと回答された方にリプレイスで重視したい項目を尋ねたQ7で上位を占めたのが

 (1)「コストパフォーマンスが高い」(61.0%)
 (2)「運用・操作が簡単である」(59.3%)
 (3)「設定・導入のハードルが低い」(59.3%)

の3つの項目でした。

裏を返せば、現在多くの企業に導入されているロードバランサー製品の多くが、これらの点をクリアできていないといえるのです。

利用シーンの拡大に伴い、豊富な機能、簡便な操作性、高いコストパフォーマンスを実現した新タイプのロードバランサーが提供されるようになってきました。
その1つが、プログレスソフトウェアの「Kemp LoadMaster」です。

その特徴として、最初に挙げられるのが機能の豊富さです。
LoadMaster は、レイヤ4とレイヤ7のロードバランシングに対応、最大1000台のリアル/仮想サーバーに対応できる高い拡張性を持っています。

SSL/TLS機能への対応や、レイヤ7攻撃に対応できるWebアプリケーションファイアウォール(WAF)機能により、高度なネットワークセキュリティを実現します。

複数のデータセンターの高可用性を実現するグローバルDNSやトラフィック管理サービスやシングルサインオン(SSO)のサポートによりネットワークの構成をシンプルにすることができます。

もう1つ大きな特徴といえるのが、導入・管理の容易さです。
LoadMaster を用いることで高性能なロードバランサー(ADC)やセキュリティ機能を簡便に導入、運用することが可能です。

LoadMaster の最大の特徴は、競合製品に対して圧倒的な価格優位性を持っていることです。高い市場シェアを持つA社のロードバランシング製品に比べ1Gbpsあたり実に40%以上という高いコストパフォーマンスを実現しています。

Kemp LoadMaster(ハードウェアアプライアンス

これらに加えて、LoadMaster の魅力として、デルとの協業で展開されている Dell ECS Object Storage 製品ソリューションといっしょに使用されていることを挙げることができます。

このソリューションを用いることで、異なるデータセンターに配置されているデルのオブジェクト ストレージ(ECS)に効率的、安全にデータを保存することが可能になります。

LoadMaster により異なるデータセンターに配置されているECSを効率的に利用できる

今回の調査でも、「オブジェクトストレージとロードバランサーを組み合わせて、データの配置を効率的に行えるソリューションを利用したいと思うか」という設問(Q9) に対し、 「非常にそう思う」という回答が14.0%、「やや思う」が58.0%を占めました。オブジェクトストレージでのロードバランサー活用への企業の関心が非常に高いことが分かります。

Kemp LoadMasterr は、ロードバランサーの活用領域を拡大するドライバーとしての役割を担っていくことになるでしょう。


Comments
Comments are disabled in preview mode.
Loading animation