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スマートスピーカー: Google と Amazon 、そのほか

スマートスピーカー: Google と Amazon 、そのほか

AI(人工知能)の最近の台頭は顕著です。ナチュラルな知能、人工でない知能の方はやがて希少になっていくのかと考えを巡らせてしまうほどです。

現代の人々は、人類史上かつてなかったほど多忙です。複数のスマートフォンを使いこなして、二桁に達する職務を次々に遂行し、人間らしさが失われていきます。話をしたい人間の友人も忙しすぎて近くにはおらず、「ああ忙しいっ」と、ぶっきらぼうに叫ぶでしょう。

いくつかの世界の大手IT企業は、ディープラーニングに膨大な費用をつぎ込んで音声認識機能や自然言語理解機能を強化し、インテリジェントなデジタルアシスタントを商品化しました。多忙な人たちも、スケジュール管理やニュース読み上げ・音楽再生などをしてくれるデジタル秘書と会話を取り戻すことができます。

Apple は Siri、Microsoft は Cortana、Google は Google Assistant を、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーションやブラウザに搭載可能です。また、Amazon は Alexa を、中国の Baidu はDuer (英語の造語ですが、中国語ではdu mi と呼ばれます。du はBaidu の略称で、mi は秘書を意味する mi shu の略称です。)を持っています。

ポータブルアシスタントからスタンドアロンのデバイスへ

これらのインテリジェントなパーソナルアシスタントが、スマートスピーカーと呼ばれるスタンドアロンデバイスとして家庭やオフィスに取り入れられるのは時間の問題でした。AmazonのAlexaが、2014年にスマートスピーカー Echo で最初に話題を集めました。それは、ホームオートメーションデバイスと接続するために、アプリやスキルを追加する機能を備えていました。デジタルアシスタントに携わる企業は、技術の相乗効果を期待してハードウェア/ソフトウェアがデバイスと統合できるようにします。Apple では、Apple のハードウェアでしか利用できない Siri とは別に、新しいスマートスピーカー、HomePod を提供しています。

多くの人にとって、スマートスピーカーはスマートホーム・セットアップの中心になり、以前は最も優れているとみなされていたスマートハブが不要になります。

家庭やビジネス向けスマート市場はどんどん拡充されていきますが、スマートスピーカーは家庭で利用する価値があるでしょうか?

こういった疑問の回答者としては、独立ITセキュリティコンサルタントである Sorin Mustaca 氏が適任でしょう。

データ/ネットワークセキュリティと実際の敷地内セキュリティとの関連で、スマートホームについてのご意見をお聞かせいただけますか?

Mustaca氏:「私は IoT の賛成派です。IoT には多忙な生活を改善できる可能性がありますから。生活がデバイスによって複雑化することなくより便利になるのなら、私はそれを試してみたいと思います。残念ながら、そういった画期的なデバイスが出てくるようになるのはずっと先でしょう。私はスマートホームの賛成派ですが、セキュリティに関しては問題があります。私は全体のコンセプトは初期段階にあり、我々が何をしたいのか理解して本当のコミュニケーションができるようになるまでにはまだ何年もかかるだろうと思っています。さらに、家庭の事情や個人情報に関する取扱いに関してスマートホームを信頼して、いくつかの決定権を与えてもいいと思うようになるのは、もっと先になるでしょう。」

家庭での重要な事項に関してスマートデバイスに頼ることはありますか?

Mustaca氏:「音楽を聴いたり、電気を点けたり、コンテンツをストリーミングしたりするためには、AIアシスタントを使います。しかしそれ以上のことは頼りません。」

Google か Amazon のどちらかのデバイスを選択するとしたら、どちらを選択しますか?それはなぜですか?

Mustaca氏:「私は Google を選びます。Amazon がハードウェアとその上で使う良いソフトウェアを作れるとは思わないからです。私はここ数年の間に、Amazon が生産したほとんどのハードウェア機器(タブレット、電子書籍リーダー)をテストし、それらすべてを返納してきました。加えて、私はAmazonの商品を売ろうとするデジタルアシスタントを考えることができません。」

メーカーによる違いを考慮しない場合、これらのデバイスの問題は何ですか?

Mustaca氏:「これらのアシスタントは、どのメーカーのものでも、宣伝されているものとはまったく異なります。コマーシャルで流されるのは、うまくいくわずかな機能だけです。まだ、何を話すべきか、どのように話すべきかを人間が学習する必要がある段階です。アシスタントに何をしてもらいたいのかを説明するために自然にコミュニケーションできない場合は、常にエラーが発生します。」

スマートスピーカーに対する将来予測を教えていただけますか?

Mustaca氏:「背後にあるAIが大幅に改善すれば、今後3〜5年の間に明るい未来が待っているでしょう。スマートスピーカーとキーワードのリストなしにやりとりすることができれば、普遍的な利用が可能だと考えられる瞬間に到達したとみなせると思います。」

確かに納得できる予測です。どの企業も音声認識はまだ初期レベルであることをいろいろな表現で認めています。ドラゴンディクテーションソフトウェア(利用可能な最良のものと考えられています)でさえ、ユーザーのアクセント、発声パターン、使用する語彙のトレーニング期間を含んでいるということは偶然ではありません。

購入に際しての留意事項

Google と Amazon だけがスマートスピーカーを作っているわけではありませんが、この2社が主要メーカーであることは誰もが認めるところでしょう。Google は間違いなく音声と画像の認識におけるAIの進展をけん引しており、様々な製品とサービスにつながるディープラーニングを扱うことのできる技術リソースを自社内に持っています。Amazon は、超大企業ですが、基本的には小売業者であり、Googleとは異なる視点を持っています。

スマートスピーカーが必要で、できるだけ早く購入しなければならない場合は、次の点を考慮してください。筆者が思いつく範囲で、重要な順にそれぞれを列挙します。

  1. スマートスピーカーを選択する際、セキュリティは重要な考慮事項ですか?もしそうなら、名の通ったブランドだけに絞り、IoTデバイス用の専用LANを検討してください。
  2. スマートスピーカーは、良好なオーディオを有するべきであり、優れた音質は必須です。
  3. 木製家具などの表面を傷つけないことが求められます(Apple は要注意)。
  4. Alexa、Cortana など、使いたいインテリジェントなデジタルアシスタントとの互換性がある必要があります。
  5. 家やオフィスに追加する予定のスマートデバイスやセンサーとの互換性も必要です。
  6. 使えるサービスは特定のものに限定されていますか、それとも製品メーカーと競合するものを含め、すべてにアクセスできますか?使えるサービス、使いたいサービスは、デバイス選択時のキーになり得ます。
  7. 「スピーカー」と銘打っていても、設置場所では常時、ウェイクワードを使わない間も、マイクロフォンからの収集音をモニターしていることは認識すべきです。この点に関して受け入れられるとしても、デバイスのプロバイダが音声データを安全に管理し、何らかの迷惑行為があった場合にのみ音声データを法執行機関に提出し得る、という点も確認したいところです。
  8. 家やオフィスに追加されるスマートデバイスは、設計上安全でなければなりません。そうでない場合は、追加するべきではありません。家庭用セキュリティ製品をしっかりチェックしてください。
  9. すべての製品の調査結果をチェックするのはいいことだと思いますが、Googleのスピーカーが、認識能力の点で今のところ一番スマートに見えます。

最後に、スマートスピーカーは確かに革新ですが、新しいデバイスの追加に伴うセキュリティ上の危険性は明らかです。寂しがり屋で、面倒くさいことが嫌いで、しゃべる家というSF的な雰囲気が好きな人にとって、デジタルスピーカーとのやりとりは楽しいでしょう。音声コマンドでカーテンを閉じることも、自分の力を実証できるようで気分がいいかもしれません。

筆者の場合は、少なくとも IoT セキュリティや低電力無線規格のようないくつかの規格が整備されるまでは、決断を延期し、スマートスピーカーを購入することはないでしょう。それまでの間は、ソファから立って歩いて行って照明を暗くし、ホームシアターシステムのコントロールにはリモートを使います。それに不満はありません。インテリジェントなデジタルアシスタントが着信ハックを検出して警告し、ハッカーの生体インプラントを遠隔から爆発させることができるようになれば、AIに広範囲のセンサーを通じて家を監視させることを検討するかもしれませんが、、、。

 

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